どこに帰ればいいの Silver Moon
思い出せない
Lindberg “Silver Moon”
午前10時
駅のホームで
あなたは空を見上げて泣いていた
学校に行きたくない
家にも戻れない
話せる友達もいない
「どこに帰ればいいの」
ものごころついた時からあなたは
どこに行っても
“扱いにくい”
“ちょっと変わった”
子だった
どうしたら
扱いやすい普通の子になれるのか
さっぱりわからなかった
きっとここじゃないんだ
日本という社会が
窮屈すぎるんだ
そう思ったあなたは
両親を説得して
海外に飛んだ
その国では
自由を感じた
ありのままのあなたを
受け入れてくれる感じがした
あなたは日本語よりも
英語が得意になり
明るく健康になり
大学を卒業し
仕事も見つけ
友達をいっぱいつくり
恋をたくさんして
好きな人と結婚して
大好きだよと言い合っても
あなたの問いかけは
変わらなかった
「どこに帰ればいいの」
その答えが見つかるまで
どこにいても
誰といても
あなたはいつも
ひとりだった
だって、あなたは
まだ思い出していなかった
「ここに帰って来るんだよ」と
遥か遠くから
すぐそばから
いつも呼ばれていたことに
あなたはスターシード